
「共生」を考える1冊
近年、自然科学の様々な分野で「共生」や「調和」が盛んに研究されている。宇宙基地システムの研究から生まれた閉鎖空間での「共生」のシステムは一見完成しているようだが、そこには「負のフィードバック」という最も重要な要素が欠けている。
負のフィードバックの欠如は、人口爆発やそこから生ずる環境問題など、現在起きている様々な問題へと通じている。そして快適さと便利さ・効率を追求して自然界に存在しえない「刺激」を作り出し、また「自己家畜化現象」を進めたために、人工環境の中でしか人類は生きることができなくなった。そして同時に、閉鎖空間における過密性が本来持つべき感性を失わせて、種内での競争を激化させている。
地球温暖化やオゾン層の破壊は、本来は確実に「負のフィードバック」となるべきものである。しかし、それが抑止力として機能しない以上、地球全体という「集団」を維持するためには、人類という「個」が、自分たちの手で負のフィードバックをかけなければいけないのではないだろうか。
地球が有限のものであるという大前提を踏まえ、筆者はこのように述べている。その上で、人間が置かれている閉鎖的な環境の問題点を指摘し、人間と自然の真の「調和」とはどのような関係であるかを述べている。
環境問題について個々の事例を取り上げ、それに対する是正策を提示する本は数多くあるが、この本のように全体を見据えてそれを統合的に論じていくというものはあまり見かけない。生物や環境について得に専門的な知識を要するわけではないので、多く...